書くより先に型を作った——Insights記事執筆を Claude Code SKILL で型化した話

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事例記事を1本書こうとしたとき、最初にやったのは「書くこと」ではなかった。型を作ることだった。Claude Code の SKILL という仕組みを使って、記事執筆の全工程を7フェーズに型化した話を残しておく。

  • コマンドひとつで全工程が立ち上がる「書こう」と思ったその瞬間に始められる。起動コストが構造レベルで変わる
  • 7フェーズの型ぼかし方針・リスク監査・骨子・執筆・バズチェック・公開前確認・アイキャッチ生成。型が決まれば判断コストが消える
  • 使うたびに賢くなるドキュメントは放置される。SKILLは毎回呼び出す。更新サイクルが自然に回る

リード

事例記事を1本書こうとしたとき、最初にやったのは「書くこと」ではなかった。

「書ける状態を作ること」だった。型を作るほうが記事より難しかった。でも型ができたら、書くことよりも書き続けることが、格段に楽になった。

ネタがあるのに出ない

書けない、というわけではない。

AI顧問として実装に関わってきた案件が、そのままコンテンツになる。「こういう判断をした」「こう失敗した」「こう設計し直した」という話は、読んでもらえる自信がある。ネタには困っていない。

詰まるのは、いつも書き始める手前だ。

社名はどこまで出せる?数値を書いたら特定されないか?社内の仕組みを公開して問題ないか?CTAはどこに置く?文体は?導線は?

ネタを持っているのに、判断の数だけ消耗する。先延ばしになる。そのうち鮮度が落ちる。

これは「書き方」の問題ではなかった。書き始めるまでの「起動コスト」の問題だった。

最初の試み:ルールをメモにした

判断のほとんどは、一度決めれば次から迷わないことだと気づいた。

社名ぼかしの方針、リスクの確認項目、文体のルール、CTAの配置——それをマークダウンにまとめた。「これで起動コストが下がる」と思った。

1週間後、次の記事を書こうとしたとき、そのメモを開かなかった。

書こうとすると、まず書くことを考えてしまう。メモを参照するのは、すでに詰まってから。ルールが手元にあっても、使うタイミングに使えない。

ドキュメントを作ることと、その通りに動くことは別の話だ。

転換点:「呼び出せる型」

Claude Code には SKILL という仕組みがある。

~/.claude/commands/ にマークダウンファイルを置くと、チャット欄で /ファイル名 と打つだけで、その内容ごとClaude が起動する。書こうと思ったタイミングで /jirei-kiji と打てば、記事執筆の全工程が立ち上がる。

メモとの違いは「能動的に読む」か「呼び出すと動く」かだ。

起動コストが、メモを探す手間から、コマンドを打つ0.5秒に変わった。始められる確率が、構造レベルで上がる。

仕組みを作る前の段階で詰まっている方。設計の相談はこちら → ai.tosakafunk.com

7フェーズの設計

SKILL の中身は7フェーズで構成している。

フェーズ1:ぼかし方針の確認

社名・業種・数値・人員変化の4軸を、書き始める前に確定する。

「社名は出さないが業種は書く」で進めた記事を「やっぱり業種も出さない」に変えると、ほぼ書き直しになる。方針は最初に決める。それだけで後の修正コストが大幅に変わる。

フェーズ2:リスク監査

6項目のチェックリストを、骨子の段階で通す。

  • 関係者のプライバシーに配慮されているか
  • 公開して困る機密情報が含まれていないか
  • 誰かへの不利益につながる表現がないか
  • 競合他社名・個人名・訴訟リスクのある表現がないか
  • 記事全体がポジティブな文脈で完結しているか

骨子の段階でやるのが正解だ。本文を全部書いてからだと修正コストが高い。何も書いていない前では判断できない。骨子レベルが一番ダメージが小さい。

フェーズ3:骨子構築

テンプレートに沿ってセクションを埋める。

【0】リード(100字)
【1】課題
【2】最初の実装・試み
【3】限界・転換点 + CTA①
【4】再設計
【5】結果
【6】業種・用途への転用
【7】クロージング + CTA②

骨子を先に固める理由は単純で、書き始めてから構造を変えるのが一番消耗するからだ。骨子が決まれば、本文は「埋める作業」になる。

フェーズ4:本文執筆

文体ルールと CTA 配置ルールがここに入る。

文体ルール(抜粋):

  • 1文は40字以内。長くなるなら「。」で切る
  • 「〜と思います」「〜かもしれません」は使わない。断言する
  • 「AIを活用して」ではなく「AIに◯◯をさせて」と具体化する
  • 段落は3〜4行まで。白地を惜しまない

CTA 配置ルール:

  • CTA①(共感型):転換点の直後。「この段階で詰まっている方へ」の形で置く
  • CTA②(本命誘導型):記事末尾。LP への橋渡し

文体ルールを「書いた後に直す」のではなく「書きながら守る」ために SKILL に入れてある。呼び出している間は、ルールがコンテキストに常駐している。

フェーズ5:バズチェック

自社のバズ設計プレイブックにある5問を通す。

1. 誰の、どの痛みに刺さるか(1行で書けるか)
2. タイトルと中身は一致しているか
3. 主役は「議論・共感・驚き」のどれか
4. 引用したくなる一句があるか
5. 炎上・誤解・権利のリスクはないか

この5問に答えられてから初稿として出す。答えられない状態で出しても戻ってくる。先に自分でフィルターをかける。

フェーズ6:公開前チェック

最終確認。リスク監査通過済みか、CTA①②が両方入っているか、リンク先は正しいか、業種転用リストは入っているか。チェックボックスを埋めてから出す。

フェーズ7:アイキャッチ生成

最初、このフェーズは存在しなかった。

記事を書き終えてから「アイキャッチはどうする」という問題が発生した。それをきっかけに、Gemini Imagenで記事のコンセプトから画像を生成し、microCMSのメディアAPIに自動アップロードして eyecatch フィールドに PATCH する——というフローをSKILLの最終フェーズとして設計した。

記事を書き終えたら、コマンド一つでアイキャッチまで出る。

型は「完成させてから使う」ものではない。「使いながら育てる」ものだ。

実際に動かした結果

このSKILLで書いた最初の記事が、「AIに判断を任せる前にやるべきこと:失敗から辿り着いた二層設計」だ。

本業の社内AI実装プロジェクトの記録を、社名をぼかした上で公開した。フェーズ1でぼかし方針を確定し、フェーズ2でリスク監査を通し、フェーズ3〜4で骨子と本文を作り、フェーズ5でチェックした。

SKILL を呼び出してから初稿が出るまで、1セッションで完結した。

「起動コスト」が消えると、書き始めるまでの時間がほぼゼロになる。ネタがあるのに出ない、という状態が構造ごと変わった。

型は使うたびに賢くなる

SKILL を作ってから、2回の更新をした。

1回目は noreferrer の問題だ。microCMS の「外部リンク」設定がデフォルトで noreferrer を付加するという挙動を、記事を公開してから発見した。最初はフロント側のコードのせいだと疑って修正パッチまで書いたが、実際の原因は CMS 管理画面の設定だった。「次回は同じ調査をしない」という意図でSKILLに追記した。

2回目はアイキャッチ生成フロー(フェーズ7)の追加だ。

ドキュメントは書いたら放置されがちだ。SKILL は違う。次に記事を書くとき、必ず呼び出す。使うたびに「ここを更新すれば次が楽になる」という気づきが生まれる。更新のサイクルが自然に回る。

これが、メモとSKILLの本当の違いだと思っている。

同じパターンを使える業務

「型を SKILL にする」というアプローチは、記事執筆以外にも使える。

業務

SKILL に入れる内容

提案書・企画書

構成テンプレート・禁止表現・提出前チェック

見積もり

積算ルール・リスク項目・文言パターン

SNS 投稿

フック・文字数・NG表現・ハッシュタグルール

顧客フォローメール

件名パターン・本文構成・送信タイミング

月次報告書

数値の見せ方・説明の順序・改善提案の型

条件は「繰り返す」「毎回似た判断をする」「判断基準を言語化できる」の3点だ。

Claude Code を使わなくても、同じ発想は使える。システムプロンプトに入れる、ショートカットに登録する——手段は問わない。「呼び出せる型」がある状態と、ない状態では、起動コストが変わる。

型を持つということ

「型を持つ」というのは、業務を画一化することではない。

毎回やり直さなくていい判断を固定し、本当に考えるべきことだけに集中する設計だ。

記事執筆でいえば「何を書くか」は毎回考える。「どう書くか」「リスクはないか」「CTAをどこに置くか」は、もう考えなくていい。それがSKILLに入っている。

少しの仕組みが、継続性を変える。

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