プロジェクト概要と役割
アーティスト「空山基(SORAYAMA)」氏の過去最大規模となる回顧展『SORAYAMA 光・透明・反射 -TOKYO-』の公式プロモーションサイトです。展覧会のアート性をWeb上で表現し、国内外のターゲットユーザー(空山基ファン、アート愛好家、一般来場希望者)に対して開催情報や魅力を発信することを目的としています。
私はこのプロジェクトにおいて、フロントエンド開発全般を担当しました。HTML構造設計、CSS設計、JavaScriptによるインタラクション実装、そしてパフォーマンスチューニングまでを一貫して手がけました。
採用した技術スタック
- HTML5
- CSS3 (FLOCSS/BEM規約に基づく設計)
- JavaScript (ES Modules)
- Google Tag Manager (GTM)
特定のフレームワークに依存せず、セマンティックなHTMLと最新のCSS、モジュール化されたJavaScriptを組み合わせ、軽量かつ保守性の高いフロントエンド環境を構築しました。
私がこだわった設計と実装
保守性と拡張性を考慮したCSS設計
本プロジェクトでは、CSS設計手法としてFLOCSS(またはBEM)の規約を厳格に適用しました。クラス名を以下のように責務で分割しています。
- Project (
p-):p-headerやp-modalなど、プロジェクト固有のUIコンポーネント。 - Component (
c-):c-titleやc-buttonなど、サイト全体で再利用可能な最小単位のUI。 - Layout (
l-):l-containerなど、ページのレイアウト構造を定義するコンポーネント。
この設計により、スタイルの競合を防ぎ、将来的なデザイン変更やコンポーネントの追加・修正にも迅速に対応できる、破綻しにくいコードベースを実現しました。
ユーザー体験を高めるUI/UX設計とアクセシビリティ
展覧会の世界観を伝えるため、リッチなビジュアル体験とユーザビリティの両立を目指しました。
- オープニングアニメーション: CSSアニメーションを駆使し、サイト訪問時の期待感を高めるオープニングシーケンスを実装しました。
- セマンティックHTML:
<main>,<section>,<nav>などのHTMLタグを適切に使用し、マシンリーダブル(機械可読)な構造を設計しました。 - WAI-ARIA対応: ハンバーガーメニューのボタンに
aria-label="メニューを開く"を設定するなど、スクリーンリーダー利用者に配慮し、アクセシビリティ(a11y)を確保しました。 - インタラクション: ハンバーガーメニューやモーダルウィンドウなど、複雑な情報を整理して表示するためのインタラクティブなUIを、ES Modulesを活用したJavaScriptで実装しました。
パフォーマンスへの配慮と画像最適化
アート作品を扱うサイトとしてビジュアル品質は最重要ですが、それによる表示速度の低下は許容されません。以下の点でパフォーマンスを最適化しました。
- レスポンシブイメージ:
<picture>タグを全面的に採用し、スマートフォンからPCまで、デバイスの画面サイズや解像度に応じて最適な画像(通常画像と@2xの高解像度画像)を配信するよう設計しました。 - LCPの最適化: ページの体感速度に最も影響するLCP(Largest Contentful Paint)を改善するため、オープニングで必須となる画像には意図的に
loading="eager"を指定し、ブラウザによる早期読み込みを促しました。 - スクロール制御: ページリロード時に前回閲覧した位置が表示されることを防ぐため、インラインJavaScriptを用いてスクロール位置を即座にトップへリセットし、常に意図した状態(オープニング)からサイトが開始されるよう制御しました。

